2016年12月05日

3101話 夢から取り出す


 風邪でも入ったのか、鍋島は調子が悪い。いつもの調子が出ないので、今日は静かにしておこうと思ったが、そういう日に限ってきつい用事ができたりする。
 調子というのは低くても高くてもかまわないが、低い調べでも高い調べでも、差し障りはない。ただ、調子が悪いとなると、どの調子も悪い。つまり低い調子も悪く、当然高い調子も悪い。調子そのものが悪いので、何を鳴らしても良い音は出ない。
 しかし、調子の悪さが分かりにくい低い目の調子に持っていくことが多い。だから、静かめに調子を合わせていた。
 この場合、身体の調子が悪いので、動きが悪くなる。微熱もあり、関節が少し痛い。そして腹具合も悪い。風邪が腹に来たのだろう。胃ではなく、腸。腹に来ると、力が入らない。
 それで部屋を暖かくし、お茶をすすっていた。こんなときは生姜湯がいいのだろうが、そんな買い置きはない。飲むと暖まるだろうが、別に悪寒はしないので、買いに行くまでもない。あっさりとした緑茶で十分。これは熱取りの役目も果たしている。それに生姜湯の甘ったるいものを飲むと、胸が悪くなりそうだ。
 鍋島は最近古代史に凝っており、その探索をネットでやっている。別に体力を使わないし、本を読んでいるのと似たようなものだ。
 しかし、ウェブ上の文字を読んでいると、疲れてきた。読みやすいページではなく、背景が黒で、文字が白。しかも横にやたらと長いし、行幅も詰まっており、非常に読みにくい。読んでもらいたくないのだろう。当然フォントも小さい。そういうとき、そのテキスト箇所だけをコピーし、ワープロ側で読んだ方が読みやすい。そういうのを、また別のソフトで整理して保存している。自分だけの歴史資料だが、いずれも素人が書いたものを集めただけ。
 しかし、調子が悪いときは、好奇心も沸きにくいのか、また根気が無くなるのか、疲れてきた。
 そのうち、うつらうつらとなってきたので、ベッドへすぐに移った。寝るにはいいチャンスだ。本当は寝ていた方がいい。
 そして夢の中で古代人が出てきた。ハヤトとかクマソとかが暴れている。
 目を覚ましたとき、部屋の中は真っ暗。もう夜になっていたのだろう。見た夢は覚えているが、断片的で、物語性はない。それはかまわないのだが、惜しいことをした。どんなものを着ていたのかが思い出せない。もしそれを覚えていたなら、貴重な資料になるのだが、どうせ夢なので、覚えていても、知っている範囲内の組み合わせだろう。
 一眠りしたので、調子が戻ったのか、腹具合もよくなっている。それで、すぐにパソコンの前へ行き、隼人と熊襲について調べ始めた。
 
   了


posted by 川崎ゆきお at 10:25| 小説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする