2017年10月07日

3405話 通れない道


 通れない一帯がある。工事をしているわけではない。工事なら終われば通れるようになる。その道は工事ではなく、人が立っている。交通整理や誘導員ではない。工事などしていないのだから。立っているのは一人ではない。二人か三人。それが道を塞いでいるように見られる。
 立花は自転車で遠出したとき、いつもそこへ寄るのだが、これは通り道だ。しかし目的地があって走っているわけではなく、良さそうな場所を探索するのが趣味だ。車と違い、狭い場所でもすいすいと入っていける。
 そして今日も、人がそこに立っているため、入り込めない。自転車でなら簡単にすり抜けられるのだが、生活道路のようなところでは、強引には突っ込めない。余所者が入り込むようなものなので少し遠慮がある。それに用事で立花はそこを通るわけではなく、興味本位なのだ。少し古い建物が残っているし、その奥に大きな木がある。神社か寺でもあるのだろう。
 今日こそこの一帯を探索してやろうと、立花は別の道を探した。ぐるっと回り込めばいい。またはその道の向こう側から入り込めばいい。
 しかし、これは徒労に終わる。人が立っている道は奥で行き止まりらしく、また横からの道も付いていない。やはりあの人達が立っている場所からしか入り込めないようだ。
 それでその一帯への探索は諦め、別の方角へ向かい、その戻り道、またあの場所へやってきた。通り道なので、仕方がない。するとやはり人が立っている。立ち話にしては一時間以上。そして思い出してみると、ここはいつも人が立っている。
 先ほど見かけた三人とは服装が違うことに気付く。別の人達が立っているのだ。じっとそれを観察するわけにはいかないのは、その三人がじっとこちらを見ているため。三人の目の射撃にあい、立花は顔を向けないで直進した。
 いつその前を通っても人が立ち塞がっている。しかし通せんぼしているわけではない。その道の向こう側に何があるのかだ。古びた屋根瓦が見える程度で、少しくたびれた程度の町並みだ。高い樹木は神社だろうか。それともただの庭木だろうか。
 立花は地図で調べると、確かにあの道は抜けられない道で、行き止まり。そこに謎の保存林がある。しかし神社はない。
 余所者を入れないように、交代で守っているとしか思えない。
 しかしそれは立花の視点で、聞けば何だそんなことだったのかと思うだろう。
 
   了

posted by 川崎ゆきお at 10:24| 小説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする