2018年09月14日

3746話 二百十日の神様


 夏が終わった頃、その村里で祭りがある。まだ秋の収穫前。稲穂はまだ黄金色ではない。
 ただその祭、奇習というわけではないが、風の神様を鎮める祭り。似たような行事は他にもあり、風祭りと言われている。立春から数えて二百十日。台風と関係しているようだが、実際には厄払いの行事。虫送りが疫病と関係するように。風祭りは災害と関係する。台風に限らず、地震などの自然災害だろうか。
 この村での風祭りは変わっており、風を神として崇めている。祭ることで鎮まってもらうためだ。祭らなければ、暴れ出す厄介者。
 その厄介者の厄だけを取り出したのが、この村での風祭りで、よくある厄神さんと同じようなものだが、厄神さんは主に年齢と関係する。厄年がそうだろう。これは天災ではない。
 神様というのは特化した神ほど効く。デキモノだけとか、さらにイボだけとか。御神体はイボガエルだったりする。
 しかし、この里の風神様は時代のニーズというより、祭る側の解釈で、いつの間にか厄除けの神になった。それで二百十日に厄払いの行事が行われる。
 風神や雷神は有名だが、この村の風神は台風をイメージした神様で、被害をもたらす災いの神だが、それを利用して、悪いものを強い風で吹き飛ばし、払い落としてくれるらしい。
 風神様の御神体はない。神様には姿がないためだ。また、風神様の神社とか、祠とかもないが、洞窟がある。自然にできた風穴。そこに短冊形の布を縄のれんのように垂らすと、風で揺れる。風神がそれで姿を現したようなものだが、単に風で揺れているだけ。
 布の色は多彩で派手。これは風祭りのときにしか飾らない。一回きりなのは、布のためだろう。
 その下を潜ると厄除けの効果があるとされている。風神様の風を受けることで、悪いものが払い落とされ、吹き飛ばされる。
 時期は二百十日なので、台風が来ることが多いため、当日台風なら、ものすごい風で払ってくれるらしい。
 
   了



posted by 川崎ゆきお at 11:22| 小説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする