2019年06月10日

3414話 シマイバナ


「雨ですねえ」
「これで梅雨入りでしょ」
「明日晴れるらしいです」
「そうなんですか、で、そのあとは」
「下り坂です」
「じゃ、すぐにまた雨」
「さあ、曇りかもしれませんし」
「この雨で、もう梅雨入りでもいいでしょ」
「じゃ、明日の晴れはどうなります」
「梅雨の晴れ間」
「ああ、そう思った方がよろしいですねえ。今日の雨が梅雨の雨だと思えば何ともない。夏が暑いように梅雨は雨ばかり。これは諦めがつきます」
「ところでアジサイを見に行かれましたか」
「咲いてますねえ。まだ咲き始め。まだ見所じゃない」
「ツツジも見に行かれましたか」
「まだ咲いてますなあ。しかし時期が過ぎた。サツキは五月に見るもの。六月はアジサイにバトンタッチ」
「しかしまだ咲き始め。ツツジは咲き終わる頃ですが、まだ咲いています。どちらも早いか遅いか」
「まあ、どちらも見ることができるわけですな」
「どうです。六月の梅雨で雨が降っている頃に見るツツジのシマイバナ見学は」
「それは考えもしなかった」
「まだ、咲いていますからね。品種が違うのでしょ。場合によっては満開で、見所ですよ」
「雨にツツジ。まあ、いいかもしれません」
「ツツジの前は何でした」
「桜です」
「桜の前は」
「梅です」
「梅の前は」
「椿です」
「いずれも木ですねえ」
「それは気付きませんでした」
「雨ですが、行きますか、濡れたツツジを見に」
「そうしますか。しかしアジサイも咲いていますよ」
「じゃ、両方」
「いや、アジサイはもう少し寝かせましょう。まだまだこれから飽きるほど見ますから。ツツジはもう終わりなので、見納めです。ラストチャンスのシマイバナ」
「じゃ、その方針で行きましょう」
「はい」
 
   了




posted by 川崎ゆきお at 10:24| 小説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする