2020年01月15日

3632話 吹雪の山荘密室殺人事件


「吹雪いていますなあ」
「まさに吹雪の山荘」
「いい感じですよ」
「見知らぬ客が数名」
「十人ほどですか」
「偶然私とあたなはこうしてお近づきになれた」
「そうですなあ」
「他の八人のことは知らない」
「まあ、着いたばかりなので、そのうち親しくなれるでしょう」
「まあ、親しくなるかどうかは、問題ではないのですが」
「山荘の人もいますよ」
「歯の抜けた老人がいましたねえ」
「ここの管理人でしょ。入れ歯を入れればいいのにねえ」
「合わなかったのでしょう。食べにくいし」
「いや、歯がなければ噛めないでしょ」
「歯茎や唇で、何とかなります」
「私は一寸いい差し歯に変えたのですが、それができるまで豆腐ばかり食べていました」
「うどんも何とかなりますよ。ただし蕎麦は固いのがあるので、今一つですが」
「まあ、うどんや蕎麦なんて流し込めばいいんですよ」
「それよりも、この吹雪」
「はい」
「かなり積もるでしょ」
「ということは」
「よくあることです。閉じ込められます」
「はあ」
「密室です」
「山荘そのものが密室なんですな」
「そうです。そして色々な事情でここに来た人達、キャラはまだ分かりませんが、揃うものが揃うでしょう」
「あとの八人は、どんな人でしょう」
「同じようなタイプの人、八人では駄目でしょ」
「そうですねえ」
「女性陣も大事です」
「山荘の人もでしょ」
「そうです。山荘の内部に詳しい。どんな部屋があるのか、全部知っている。床下から天井裏まで。そして山荘周辺の地理にも詳しい」
「八人の中に刑事がいたり」
「犯人もいますよ」
「医者も」
「そうです」
「それと謎の美女」
「必要でしょ」
「そして起こるべきものが起こる」
「山荘殺人事件」
「犯人はその中にいます」
「どうなんでしょう」
「いや、そのお膳立てが揃っています」
「整っていますか」
「そのときは私が探偵をやるでしょう」
「じゃ、僕は犯人だったり」
「でも冗談を言っていると、本当に起こるかもしれませんよ」
「被害者は一人ですか」
「全員殺されるかもしれませんよ」
「じゃ、犯人も殺される」
「そして誰もいなくなった」
「定番ですなあ」
「誰か呼びに来ましたねえ」
「歯抜けの管理人ですよ」
「晩餐でしょ」
「じゃ、食卓のある大広間へ行きましょう」
「あとの八人、楽しみです」
「はいはい」
 
   了





posted by 川崎ゆきお at 12:41| 小説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする