2020年12月18日

3967話 偽書のある神社


 市街地からも見えている山の取っ付きにある神社がある。地元の村の神社ではないようだ。既にこのあたりは村の面影など一切消えている。山と海に挟まれた狭いところ。稲作が盛んになる前は海沿いの、この山裾に人が住んでいたようで、遺跡が残っているが、古墳ではない。それ以前だろう。
 その山の取っ付きに神社があるのだが、灯台としても知られている。最初から高いところにあるので、石灯籠のようなもの。昼間は目立たないが、夜に明かりが入ると海からもよく見えたのだろう。それは神社とは関係がない。
 山の取っ付きといっても市街地とはそれなりの距離があり、なだらかな山ではない。神社は平らな場所にある。その敷地だけが平ら。そしてかなり古い古木が林のように拡がっている。樫や栗だろうか。ある人に言わせると縄文時代に栽培していたのが、今も残っていると。そんな古い木が残っているとは思われないが、縄文杉もあるぐらいなので、縄文栗もあるのかもしれない。樫、ドングリのことだが、この樫の名が付く地名が多いのは、その頃からの名残かもしれない。
 特にこの神社の境内にかなりの本数があり、老いすぎて枯れたり、倒れたり、立ち枯れ状態のもある。その横にある梅園よりも広い。いずれも山の取っ付きの広い場所は神社の土地。この平らな場所こそ縄文時代、村があったのではないかと思われる。遺跡はさらに山側にある。
 神社の成り立ちは不明、またいつ建ったのかも不明。氏子はいるが、漁村の人達。今はそんな港などない。漁村だった場所をさらに埋め立て、工場地帯になっている。だから氏子はいないのだが、その近くの人が寄進とかしている。正式な氏子ではないが、このあたりでは貴重な聖地。神社は他にない。
 この神社は知る人ぞ知る神社で、太古に書かれた文書の写しが残されているらしい。漢文ではない。古代文字。
 ここに本当の日本の歴史の始まりが書かれているとか。当然偽書。さらにこの神社にあるとされているのは、その写しだが、嘘だと分かっていても、この場所の雰囲気や立地条件などで、本当ではないかとついつい思ってしまう。
 古代王朝が、この地にあったとしてもおかしくない。たとえば卑弥呼時代にも無数の国々があった。それ以前なら、全国至る所にあっただろう。だから古代王朝の王は一杯いたに違いない。
 
   了

 


posted by 川崎ゆきお at 13:37| 小説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする