2021年01月07日

3987話 正月明け


 年末年始も過ぎ、正月も明け、平日に戻ったとき、平田はのんびり過ごしている。正月休みではなく、明けてから。
 仕事に行っていないので、初出勤も初仕事も仕事始めもない。むしろ年の瀬が忙しく、正月も忙しかった。仕事ではない。いろいろな行事があるためだ。
 別にやらなくてもいいのだが、年越しの準備とかでドタバタしていた。それに年が押し迫るだけでも気ぜわしく、落ち着きがない。
 また無事年が越せるかどうかを緊張しながらカウントダウンに加わった。
 あまり知られていない山寺に鐘があり、そこは穴場でほとんど人は来ない。最寄り駅からも遠いし、深夜、そんな山寺に行くだけでも大変。平田は駅から夜道を歩いて寺まで行っている。一つか二つ、山を抜けたので、ちょっとした夜のハイキングだった。そんなことをするから忙しい。
 また、戻ってから寝たのだが、起きたのは昼過ぎ。これが元旦の目覚めになるのだが、そのまま起きてこられないのではないかと妙な心配をしながら寝た。もし、そのまま目覚めなければずっと夢の中。
 無事目が覚め、元旦の朝を目出度く迎えたのだが、朝の支度が大変。寺に行っていたので、おせち料理とかの準備はない。だが食材は買っていたので、元旦早々おせちを作った。といってもごっちゃ混ぜにして煮ただけだが。
 しかし、レンコンやゴボウの酢の物も作った。数の子は買い置きがある。棒鱈も。かまぼこも正月用の背の高いのを買っていたので、あとは切るだけ。
 そして重箱にそれを詰めたのだが、元旦の食卓を作るまでかなり時間がかかった。
 またそれを食べた後、もう夕方前だが、初詣に行く。既に鐘撞き堂のある山寺でそれを済ませたのだが、夜では感じが出ないし、神社ではなく寺。それで日のあるうちにと思い、急いで近所の神社へ行く。日は落ちかけている。焦った。
 というようなことをやっていたのだが、三が日が終わると、やっとそれらの行事のようなものから解放され、のんびりできるようになった。
 だから、正月明けの方がのんびりできるということだ。
 正月の飾り付けもしっかりやっていたし、また数間ある部屋の全てに餅を供えた。便所はどうすべきかと悩んだが、ここにも餅を供えた。これはあとで食べる気はしないが。それが間違いであるか、ないかは調べていない。
 それで迎えた新年。そして正月明けのスタートの日。だが始めるものがない。もう特に用事がないのだ。
 次の行事は十日戎。商売繁盛がメインの行事。毎年行っているので、縁起物などを返さないといけない。一年ものなので。
 しかし商売繁盛といっても、商売などしていないので、何ともならないが、ネタといえばネタ。出かける用事ができる。
 十日戎は三日ある。これで間が持つだろう。
 また、少し離れた場所にある神社で農作に関する行事がある。これにも行くつもりだ。豊作を願う何かをやるのだろう。しかし平田は農家ではない。米など作っていない。だが、ネタといえばネタ。
 寒いのに、寒能というのがある。野外に能舞台を組んでやる。これにも行くつもりだが、結構遠い。
 能など平田は知らない。退屈なだけ。意味も分からない。しかし、じっと見ていると、惚けてくる。これが結構気持ちがいい。
 小学校の頃、化学が苦手で、全く分からないが、真面目に先生の話を聞いていた。意味が分からないので、先生の顔だけをじっと見つめていた。そのうちボーとしてきた。能に近いものがある。
 また寒梅の名所がある。これも遠いが行くつもりだ。しかし、そういうことで毎日出かけているわけではないので、その間の日々が暇で暇で仕方がないが、のんびりできるので、悪くはない。
 平田は正月明け、そののんびりを今まさに満喫している最中だ。この、のんびりがしたいので、出かけているようなもの。
 
   了


posted by 川崎ゆきお at 13:34| 小説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする