2021年02月19日

4030話 会議の果て


 冬の終わり、暖かい目の日が続いていたのだが、寒の戻りでガクンと気温が下がった。白木のテンションも下がり、体調も悪くなった。決して病人ではない。低気圧の影響だろう。
 日々、何もせず、ぶらっとしていると、低気圧の影響を受ける。忙しく働いているときは、気付かない。だから台風が来る前が分かる。ただし天気予報を先に見ると駄目だが。
 そんな日、いつものように散歩に出た。だから元気なのだ。しかし、ほんの僅かな距離を歩くだけで、その先にある喫茶店に入り、戻ってくるだけのコース。これが日課になっており、昼を食べたあとは必ず外に出る。
 ところが喫茶店まで来てみると臨時休業。これは分かっていたのだが、忘れていた。それで白木はまたガクンとテンションが落ちた。
 低気圧の影響で風も強いが、幸い雨は降っていない。青空があるし、陽射しもある。きっと低気圧は北の遠いところにあるのだろう。
 しかし喫茶店が休みなので、別の店に行く必要がある。そうでないと日課を果たせない。
 その日課は喫茶店で小一時間過ごす参謀会議。これで今後の方針などを立てる。それを毎日やっており、参謀ノートも溜まっている。
 いずれも実行した試しのない作戦。だからそんなお一人様会議など開く必要はない。
 だが、それをしないと、落ち着かない。
 それで、別の喫茶店へ行くことにするが、かなり遠い。近くにも店はあるが参謀会議にはふさわしくない。
 ふさわしい店はかなり遠いが、そこに行くことにする。これは作戦でも何でもない。会議などしなくても実行できる。
 白木は遠くの喫茶店まで歩きながら、そのことを考えた。実際に実行していることのほとんどは作戦会議などしていない。躊躇なく、さっとやっている。
 これだろう。
 と、白木は閃いた。
 それで、少しテンションが上がり、強い風を受け、寒いのだが、気にならない。
 その喫茶店へはたまに自転車で行っていた。歩いて行くとなると、時間がかかる。
 上がっていたテンションも、徐々に落ち始め、雲行きも怪しくなってきた。遠くの方に黒い雲が出ている。
 傘は持ってきていない。しかし、戻る気はない。
 自転車の道と徒歩の道とは違う。それで歩きやすい道を選ぶ。このあたりは自転車でウロウロしているので、ほぼ分かっている。
 それで、左に曲がり、右に曲がりしながら目的地へと進んでいるのだが、迷う心配はない。
 そして歩きながらの参謀会議を始めた。書記はいないので、書き留められない。だから記憶の中に入れるしかない。
 今後、どうするかの検討。これは毎日やっているが結論は出ない。出ても、翌日は却下される。否定される。
 これは参謀会議で通っても、御前会議では通らないため。誰のおん前だろうか。白木の超自己だろう。そんなものがいるわけがないのだが、それが「よかろう」とは言ってくれない。
 だから参謀会議も御前会議も飛ばせばいいのではないかと考えた。
 そんなものを開くから動けない。
 そしてようやく喫茶店に辿り着いたのだが、絵に描いたような話になるが、定休日だった。
 
   了


posted by 川崎ゆきお at 13:11| 小説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする