2024年08月04日
5286 嘘と真
嘘であり、それは作り話。しかし、それが入ることでよりリアルになり、しっくりといくし、説得力もある。さりありなんという感じで話が分かりやすい。
そうあって当然で、そうでないと嘘になる。これが本当のことなら嘘ではなく、実際にはそうなっていたのだが、それではギクシャクし、スムーズに流れない。
嘘、大げさ、盛りすぎ、誇大解釈のしすぎ。しかし、それの方が耳には良い。本当のことも耳で聞くのだがそれは話として聞く。実際に見たわけでも聞いたわけでもない。又聞きのようなもの。
古い時代の話ならそれしか知る方法はない。また最近のことでも、直接関わっていない限り、話として聞くしかない。といって直接耳にしたことでも、その範囲は狭く、生々しいのだが、全体までは把握しにくい。
その時間、いなかったとか、別のものを見ていたとかになるので。
すると実際にあったことを直接見たといっても、その一部なのだ。しかし、起こっていないことは起こらないまま。それが現実とは違うことが起きていたとするあたりからが嘘。これは作り話。尾びれ背びれがつき、ヘビに足まで書き加えられる。
もう実際の魚とは違うし、ヘビとは違う。場合によっては飛び出す。
しかし、そちらの嘘の方を歓迎する節もある。勝負でも普通の勝ち方ではなく、とんでもない勝ち方とかに。
これはもっとやれ、もっと盛れとリクエストされているようなもの。受けると強い。
それで盛り上げるだけ盛り上げておき、あるとき、実はそうではなかったと落とすことがある。良いところに釣り上げて、現実は本当はこうだったと、その落差を今度は味わうのだ。
実際に凄い体験をした人は黙して語らないこともあるという。思い出したくないこともあるだろうが、説明しても分かってもらえないためもある。
嘘は多く語れるが、実際の事は少ししか語れない。
また、実際にあったことでも気付かないうちに嘘が混ざっていたりする。
了